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新商品開発秘話

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インドの風と日本の心。
二人の料理人が語る商品開発の舞台裏

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    D.I.

    円相カド店長。和食をベースに、幅広いジャンルの料理に精通。

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    Y.A.

    エリックサウス関東マネージャー。インドカレーへの熱い情熱を持ち、本場の味を追求する。

Chapter 01

円相との出会いと、それぞれのはじまり。

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Y.A.

前職は印刷会社で営業をしていました。でも、ずっと「エリックサウスと稲田さんのファン」で、趣味でインドカレーを自作するくらい、カレーが好きだったんです。

いつしか「夢を追いたい!」という気持ちが大きくなり、思い切ってまったく未経験の飲食業界へ飛び込むことを決意し、円相へ転職しました。

入社後は、ES渋谷、高円寺、虎ノ門と各店舗を経験し、4年で関東マネージャー職に就かせていただきました。現在はマネジメントだけでなく、商品開発にも携わっています。

私が商品開発で一番大切にしているのは、「日本人向けにアレンジしない、インドそのままの味を持ってくる」こと。その中でも、日本人に親和性の高いものを持ってくる商品開発を意識しています。

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D.I.

僕はアルバイトから数えると、円相に14〜5年ほどいます。前職はバーテンダーだったんですが、飲食の面白さを感じて、長年飲食を続けています。

最初は岐阜の大垣でアルバイトをしていたんですが、2年後に正社員になりました。それから、うどん、バル、洋食、ビストロ、天ぷらなど、いろんな店舗を経験させてもらって、今は「円相カド」で料理長をしています。

店舗の管理業務はもちろんですが、他店舗の商品開発にも携わらせてもらっています。

主に和食を提供している僕が商品開発で大事にしているのは、「日本の郷土料理であること」を根底に置きつつ、新しいレシピを探り出して組み立てていくことですね。

Chapter 02

商品開発=常に考え続けること。
試行錯誤の先に生まれる、「美味しい」

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Y.A.

商品開発は、本当に試行錯誤の繰り返しですね。
ビリヤニの専門店での勤務時代のエピソードですが、「月替わりで限定メニューを出す」という目標を自分自身に課していたんです。

いまでこそセブンイレブンさんとコラボさせていただくまでになりましたが、当時はまだそこまでビリヤニが浸透していない時代で、「日本でビリヤニを有名にしたい!」という思いで、月替り限定メニューの提供にチャレンジしていました。

ビリヤニはインドではメジャーなもので、日本でいうところの「鯛めし」のように、おめでたい時に振る舞われる料理です。そういった文化的背景を踏まえながら、エリックサウスで出すにふさわしいストーリーのあるレシピの調査を進めました。

あらゆる種類のビリヤニに触れていく中で、レシピの共通項を見つけて最大公約数をとったり、稲田さんのレシピの配合からアレンジしたり、自分の配合でアレンジしたり。
調査の際には、海外の料理本を輸入することもありますね。
ネットやユーチューブが基本ですが、そういっただけだと信憑性に欠けるものも多いので、信頼性の高い文献などでファクトチェックするようにしています。

こうやって試行錯誤しながら、試作品をとにかくたくさん作っていった先に、ようやく新メニューが生まれる、という感じです。常に「考え続けること」こそが大切なように思います。

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D.I.

そうですよね、荒木さんのおっしゃるとおり、僕も商品開発は試行錯誤を繰り返しでしかないと考えています。

以前、創作料理店で「週替わりランチメニュー」を担当していた時の話ですが、会社員をターゲットにとにかく「ご飯が進む」商品を考えていて、和食だけでなく、中華、洋食、エスニックなど、色々な飲食店へ市場調査に行きました。

創作料理ではありますが、ランチに出す商品ということで、基本は「毎日でも食べられる」「家庭料理の延長」というイメージで、日本人が和食を食べることの意味を常に念頭においていましたね。

毎週ひたすら試作品をつくり続ける日々で、それこそ数百は考案したと思います。その中で生まれた「カレー風味のマカロニサラダ」は、自分的にヒットしたと感じられた商品ですね。
スパイスと円相の有名商品「野菜フレンチドレッシング」を混ぜ込んで作ったんですが、マカロニサラダなのに「ご飯が進む」というところが良い発想だったと思います。

「商品開発」というとなにか特別なことのように思うかもしれませんが、実際は自分や誰かが「美味しい」と感じる料理を追い求めて、ひたすら考えて作り続けることでしかないんですよね。

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Chapter 03

「原価」「付加価値」「お客様の笑顔」
「商品開発」で意識すべきポイント

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Y.A.

当然ですが我々は慈善事業をやっているわけではないので、まず意識すべきはそれが「売れるのか否か」、そして「利益が出るのかどうか」です。

売上は「お客様に受け入れられるかどうか」なので、良いものをつくるというシンプルなものですが、利益に関してはそうはいきません。
商品をつくる際の原価がどれくらいになるのか、どれくらい売れそうだからどれくらい材料を仕入れるのか、一つ間違えればすべてが狂うので、毎回慎重に検討しています。

また、日本でまだ一般に普及されていないようなインド料理は、それだけで「付加価値」があると思っていて。商品の方向性によって、「カレーマニア層」「カレー好き層」「普通の人」など、様々な層にアプローチできるチャンスがあるんですよね。

他にも、例えばメニュー表の商品説明を、ターゲット層に合わせて文脈を整え、わかりやすくお伝えすることなど、商品の周辺環境を整えることも売上の拡大につながります。

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D.I.

僕は主に和食や日本料理の開発をしているので、ジャンル的には「日本人の誰もが知っているもの」なんですよね。
なので、ある程度その料理の「原価」をお客様がイメージできてしまいますから、変にコストを下げようと代替品を使用したり、粗悪な材料を用いるなどは絶対にできません。
もちろん、原価計算は必ず行いますが、お客様に対して妥協のない料理を提供するために、メインだけでなく小鉢など副菜も含め、満足してもらえる工夫を凝らしています。

また、商品開発の際には、周囲の意見を聞くことも大切だと考えています。
いわゆる一般の方向けの商品なら若手社員やアルバイトスタッフの意見を聞きますし、より専門的な商品であれば、料理に携わる作り手側の意見を重要視します。
自信があるときは、自分の意見を通すこともありますね。

家庭で家族に披露したりして、それを開発に反映させることもたくさんあります。子どもは味覚が新しいので、自分のような玄人目線ではない意見をもらえるし、正直な意見を言ってくれるので、とても参考になります。

Chapter 04

「正解がないから悩む」「正解がありすぎて悩む」
新商品開発の難しさと、それを乗り越える方法

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Y.A.

現地の味を知らない料理を開発するので、正解がわからず悩むこともあります。
現地のレシピ通りに作っても美味しくなかったりするので、正解を知らないものをどう正しく、美味しく組み立ていくかが難しいところです。

味が微妙な時は、塩分濃度や酸味の一般感覚、その地方の一般的な料理法を試して美味しくなるように調整しています。
商品開発は科学、研究のようなものだと思っています。
学生時代古代文献学を学んでいたこともあり、英語の知識が身についたり、研究の楽しさを感じていたことが活きています。

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D.I.

逆に正解がありすぎて、何をオマージュするのか悩むこともあります。
最終的には自分を信じるしかないと思っています。
スタッフや家族に試食してもらい、その反応で商品化するものをチョイスしています。

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Chapter 05

「まずは自分が美味しいと思うものを作って欲しい」
若手スタッフへのメッセージと、新商品開発の魅力

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D.I.

そうですね。今後商品開発に携わる若手スタッフには、深く考えて作るより、まずは「自分が本当に美味しいと思う料理」を作って、それを共有して欲しいと思っています。自分の「美味しい」という感覚を大切にしてほしいです。

そのうえで、僕がメインとしている「和食」に゙関しては、日本の四季を感じられる旬の食材を扱えること、まだ日本にないものを導入し組み合わせることで、新しい可能性を広げられることも、商品開発の醍醐味だと思います。

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Y.A.

僕はあえて言いたいのですが、「創作料理はしないでほしい」と思っています。円相もエリックサウスも「オーセンティックであること」を重要視しています。その料理の背景にある歴史や文化に敬意を払いつつ、そこに自分なりのエッセンスを少し加えることでオリジナリティを出す。そういった「食へのマジメさ」が円相での商品開発には必須だと考えています。

奇をてらったアイデアや流行に乗っただけのものではなく、エリックサウスで提供する意義があり、かつお客様に永く愛される商品を開発してもらいたいですね。

僕自身も研究が好きなので、どこかの誰かのレシピを真似した料理を出してきても、ほぼ気付いてしまいます(笑)なので若手のみなさんにはちゃんと調査して、考えて、考え抜いて、提案してきてほしいですね。その体験の積み重ねが、商品開発力を高めていくことに繋がるはずです。